シューターのブログ

テロール教授の怪しい授業

 

面白い漫画に巡り会いました。バイトの先輩に勧められて借りた漫画が思いの外面白かったです。その漫画とは『テロール教授の怪しい授業』原作:カルロ・ゼン 漫画:石田点 です。まだ最近始まったばかりの漫画らしく、1巻が出たばかりだそうです。内容はテロ組織についてで、それを大学の講義でティム教授が学生たちに教えるという形式です。テロ組織についてという少し変わった漫画ですが、とても面白いことが描かれていました。

 

「理解すること」と「共感すること」は別物

いきなり、漫画の内容についてを書きますが、『テロール教授の怪しい授業』の中で、なぜテロ組織は自爆テロを起こすのか?という問題が提示されていました。そしてその答えは自爆テロが合理的であるからだそうです。「自爆テロなんて非人道極まり無い行為の何が合理的だ!」と思うのですが、テロ組織の人たちなりにはとても「合理的」らしいです。なぜ「合理的」なのかというと、話題性が高いのが理由の一つだそうです。自爆テロとは「人間爆弾」であり、SNS映えします。バズること間違いなしで、簡単にインフルエンサーになることができます。さらに、費用対効果が良いということも理由の一つだそうです。自爆テロの経費が150ドルという資産があるそうで、一番安い米軍の誘導弾一発が5000ドル圧倒的に安い。そして911を例に挙げるとアルカイダ4050万ドルを使ったのに対し、アメリカは1兆ドル越え、もしくは2兆ドルほど金を費やしているということで、自爆テロは費用対効果がよく、「合理的」であるみたいです。つまり、テロ組織といった危ない連中もそれなりの論理で動いている。だから、彼らの論理を「理解すること」は重要で、ただ、「共感してはいけない」ということです。危ない組織の考え方はそもそも知らないことが良いのではなくて、実は知っていることの方が自分の身を守ることにつながるというわけです。

 

大学の経済学の授業と結びつく!

もう一つ印象的な場面が、学生たちが勘違いをして間違いを犯してしまうという場面です。(気になる人は是非見てみて!)内容がややこしいので説明をだいぶ省きますが、学生がティム先生はアカハラパワハラをしているのではないかと思います。そしてそれを他の教授たちに訴えようとするのですが、そうではないかもしれないと学生たちの頭によぎります。しかし、そのことは棚の上に置いておいて、勢いでそのまま騒ぎを起こし、教授たちに訴えるが、実は間違いだったという場面があります。これは「もったいない」という気持ちにより、願望を事実と取り違えてしまい、間違いを犯してしまいました。これは大学の経済学の授業でも習ったのですが、いわゆる「サンクコスト(sunk cost)」というやつがカギになります。「サンクコスト」を直訳すると、「沈んだ費用」。すでに取り返すことのできない費用のことです。例えば、カープのチケットを前売り3000円で買っておいて、当日球場に行くと、チケットを忘れたことに気がつきます。取りに帰ると、試合を生で見ることができません。。そこで新たに料金の高い当日のチケット5000円を買うかどうかという問題があるとします。その場合、前売りのチケット3000円は「サンクコスト」にあたり、もうどう頑張っても取り返しがつきません。そこで、失った費用「サンクコスト」は忘れて、その時点から最大の費用対効果を得るためにはどうすれば良いかと考えるべきであり、5000円のチケットを買って見るのが一番良い選択です(経済学的視点ですが)。しかし人は「サンクコスト」に加えて、費用を重ねたくないという思いで、当日のチケットを買わず、試合を見ないという選択をすることが多いです(経済学的には間違った選択)。つまり、「サンクコスト」に執着しすぎることは、間違いを犯すことの原因になり得るということを漫画で描いています。

 

このようにテロリストになってします可能性は誰にでもあるということを漫画で描いています。ただ漫画として読むのはもちろん、アカデミックな視点や自分の身を守るために読むのもアリだと思います。是非『テロール教授の怪しい授業』を見てはどうでしょうか。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます