シューターのブログ

”あんぽん”を読んで

 

少し古い2011年に出版された本なのですが、とても面白かったので紹介させてもらいます。題名は”あんぽん”。いきなり”あんぽん”とはなんぞやという話になると思うので説明すると、孫正義さんの中学時代の頃のあだ名です。孫正義さんは在日であり、正義さんの祖母・祖父の代が韓国の大邱から九州へと渡ってきた経緯がありました。そして、日本で在日韓国人は差別されるので、正義さんは安本正義と日本人としての名前を名乗っていました。その”安本”を音読みして韓国風の発音で侮辱されており、中学生時代に正義さんは”あんぽん”と言われるのをひどく嫌っていました。そんな経緯のある言葉が”あんぽん”です。

 

壮絶な歴史

この本の見所は孫家三代の方それぞれの歩んできた人生が壮絶であり、そんな中、孫正義さんが生まれたという話がとてつもなく面白いというところと、日本の差別の歴史、日本のエネルギー問題の歴史とこれから、ソフトバンクが生まれた背景と様々な衝撃でドラマチックな話が凝縮されているところです。少しだけ、本の内容をかいつまんで、壮絶な歴史を説明すると、正義さんは佐賀県鳥栖の朝鮮部落で生まれました。「朝鮮部落は立地が悪く、国鉄の線路の横にあり、汽車が通るたびに黒煙が家の中に入ってくる。さらに、朝鮮人に対する差別が酷いことにより仕事がないので、家では豚を飼って育てることと、街で集めてきた残飯から密造酒を作っていたらしいのだが、その絞りかす(残飯)を豚に食わせ、豚はアルコールで真っ赤っかになっていた。さらに、雨が降ると、朝鮮部落が浸水し、豚と豚の糞が家でプカプカと浮かぶ」そんな家に住んでいました。住んでいた場所がもう衝撃しかないです。また、小学生時代には朝鮮人と言われ、石を投げられ、石によってできた傷が今でも頭に残っているようです。そして、孫正義の叔父の国本徳田は朝鮮人であり、日本の炭鉱で働かされており、戦後二番目の規模の炭鉱爆発事故「三井山野炭鉱爆発事故」で亡くなっています。ちなみに石炭は戦後の日本の重要なエネルギー源であり、日本は朝鮮から朝鮮人達を騙して日本に連れ、日本の炭鉱で強制労働させるということをしていました。(北朝鮮の日本人拉致大規模番みたいな?)有名なのが麻生財閥であり、朝鮮人を連れてきて強制労働させる炭鉱ビジネスで巨大な富を築き上げました。(麻生財閥の末裔が今の政治家、麻生太郎です)このように日本の黒い歴史が孫一家のエピソードには凝縮されており、”あんぽん”はとても勉強になる本です。

 

学生時代の勉強

孫正義さんのエピソードとして一つ取り上げたいものがあります。それは正義さんの祖母が、入院している時の話です。「祖母の病室で、母が何気なく、正義さんのことを『この子はお金のかかる子なのよ』と漏らした。それを聞いた正義さんが、『お母さん、僕にはなんの財産も残さなくていいよ。僕は何もいらない、その代わり、勉強の面倒だけは見てください。そのための世話だけはしてください。たとえ借金してでも、勉強だけは続けさせてください。いつか、必ずお金持ちになって恩返しします。カバンにたくさんのお金を詰めて、お母さんに持ってきてあげるから』と言った」エピソードがあります。そこがちっぽけな僕でありますが、とても共感できるところでした。どれだけ学生時代の勉強が大切か、ここを僕は社会に訴えたいと思っています。僕は母子家庭であり、家から大学に通っているのですが、奨学金に加えてバイトをしないと授業料が払えないです。大学に行けるだけで満足しろと言われるかもしれませんが、裕福な家庭にお金を出してもらっている家庭と比べると、勉強に当てることが可能な時間は、バイトをしなければいけない僕の方が圧倒的に少ないです。だからこそ、バイトをしないでお金を調達し、時間を確保し勉強に当てる方法を模索しています(そのことについては長くなるので、次のブログ「平等と公平」で書くことにします)。バイトが社会勉強だという人もいますが、「時間対費用」で考えたときにバイトは時間の浪費です。実際にそこをわかって学生時代勉強していた孫正義さんを僕は羨ましいと思うと同時に尊敬します。

 

”あんぽん”読んだことのない方は是非読んでみてください。今まで読んだノンフィクションの中で個人的には一番面白かったです!

 

最後まで読んでいただきありがとうございます